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しろさとインタビュー♯03 【日本農業】山崎悠貴さん

お知らせ



・最先端の農業技術で、城里町から茨城県の桃収穫量を2倍に!
・「どこよりも熱い」城里町との出会い。官民協働し、城里町の農業を盛り上げる
・2026年7月、桃狩りが楽しめる観光農園がいよいよオープン!
・花見から桃狩りまで、思い出の場所に。地域と共に城里町の農業の未来を創りたい



「地域の方々と手を取り合い、一緒に城里町の農業を盛り上げていきたいです」と語るのは、農業ベンチャー企業「日本農業」で子会社「ジャパンフルーツ」が運営・管理するなし・もも園地で生産事業責任者として働く山崎悠貴(やまざき・ゆうき)さんです。

日本農業は、2024年2月に城里町と連携協定を締結し、遊休農地を活用して北方・錫高野地区で桃と梨の苗木を定植、栽培を始めました。

同社では、全国初となる「V字仕立て(高樹高)」を、国立研究開発法人「農研機構(NARO)」と共同しながら「感覚に頼らない数字の農業」を実践しています。

そして2026年7月には、北方地区に「アグリーンパーク しろさと桃の丘」として、桃狩りが体験できる観光農園のオープンを予定しています。

今回は山崎さんに、日本農業の先進的な取り組みや観光農園の展望についてお話を伺いました。

さらに、城里町 農業政策課の三村さんも交え、城里町との連携に至った舞台裏やこれからの町の農業のビジョンについても熱く語っていただきました。



日本農業の山崎悠貴さん(右)と城里町農業政策課の三村哲治さん(左)



■山崎 悠貴

株式会社 日本農業
農業開発事業本部 生産部 なし・もも課所属

兵庫県出身。農業協同組合(JA)での勤務を経て、株式会社 日本農業に入社。前職での経験を生かし、現在は生産事業責任者として城里町における全体の農地運営を任されている。2024年に城里町へ移住し、プライベートでは1児の父として育児に奮闘中。地域の消防団や商工会青壮年部にも所属し、次世代に誇れる農業と地域づくりを目指して、公私ともに「城里の担い手」として汗を流している。

■三村 哲治

城里町役場/農業政策課所属

生まれも育ちも城里町。実家は町内で米やソバ、ムギ等を栽培する農家であり、休日には自ら農作業を手伝う「現場を知る公務員」。2026年には町内全7地区で「地域計画座談会」を担当し、町全体の農業の未来を紡ぐために奔走した。同僚と自作した「農業魂」作業着を愛用し、休日には他県の産地へも足を運ぶなど、農業への想いがとにかく熱い。現場感覚と行政の視点を併せ持ち、次世代に続く城里の農業の形を追求し続けている。



最先端の農業技術で、城里町から茨城県の桃収穫量を2倍に!

城里町で梨・桃の生産に携わるメンバー(写真提供:日本農業)


ーー「日本農業」や「ジャパンフルーツ」は、どのような会社なのでしょうか。

山崎:親会社の株式会社日本農業は、東京都に本社を置き、「日本の農業で、世界を驚かす」をミッションに掲げた、儲かる農業の構築を目指す農業ベンチャー企業です。
生産から販売まで一気通貫で行い、海外への青果物の輸出にも力をいれています。

その子会社である「ジャパンフルーツ株式会社」では、茨城県のほかに、栃木県、群馬県、香川県にほ場(※)を持ち、ぶどう、キウイ、梨、桃など、果樹に特化した生産・販売をしています。

(※)ほ場…農作物を育てるための場所

ーーさまざまな土地で果樹を生産し、販売しているのですね。城里町では、2024年から桃と梨の栽培を始められたそうですね。

山崎:そうです。2024年に錫高野地区で試験的に桃・梨を定植し、2025年から本格的な大規模生産に取り組み始めました。

現在は、北方地区で約3.6ヘクタール(桃約2500本)、錫高野地区で約3ヘクタール(梨桃約4000本)の規模で生産を行っています。

城里町北方にある「アグリーンパーク しろさと桃の丘」のほ場



ーーそれは広い土地ですね!2025年には、早くも桃の初収穫が行われたとお聞きしました。

山崎:はい、昨年2025年に桃約300キロを初収穫し、県内の量販店や温泉施設などへ出荷しました。

今年2026年は、およそ11トンを目安に収穫する予定です。そして来年にはその7倍以上の80トン、再来年には100トンの桃の収穫を見込んでいます。

茨城県全体の桃の収穫量は、2020年でおよそ96トン(※)でした。つまり、2028年にはこの城里町だけで、茨城県全体の桃の収穫量をほぼ2倍に押し上げる予定なんですよ。

(※)出典:日本の農作物 販売促進サイト「ジャパンクロップス」
https://japancrops.com/prefectures/ibaraki/fruit/peach/


ーーそれはすごいですね!それほど多くの収穫量を上げられる秘訣は、その「栽培方法」にあるのだとか。

山崎:そうなんです。私たちは先進的な省力樹形である「V字仕立て(高樹高)」で桃と梨を栽培しています。

V字仕立ては、木を1列に植えて実のなる幹の向きをそろえる栽培方法です。
これによって栽培管理作業の効率が大幅にアップし、生産量を上げることができます。

さらに、体をかがめずに収穫ができ、専門的な知識がなくても関わることができるため、年齢や経験を問わず、誰でも作業しやすいことが大きな強みです。

この栽培方法は、国立研究開発法人「農研機構(NARO)」(※)の先生が研究していたものですが、大規模な商業栽培には至っていませんでした。

そこで今回、農研機構と日本農業が連携し、大規模経営を行った際に、この栽培方法がどうすればビジネスとしてしっかり「儲かるか」という点も含めて、共同研究を進めています。

(※)農研機構(NARO)…農林水産省所管の国立研究開発法人。農業・食品産業の発展を目指し、スマート農業や新品種開発などを通じて、農業現場の課題解決と社会実装を推進している


「V字仕立て(高樹高)」で栽培している桃の木



ーー日本の農業の、まさに最先端の取り組みなのですね!

山崎:そうですね。農研機構の先生が定期的に教えにきてくださるほか、私たちの社員には製薬会社で研究やシステム開発に携わっていたメンバーもいるため、徹底して「感覚に頼らない数字の農業」を実践しています。

例えば、日当たりや、風速、温度、土の性質や成分などをできる限りデータ化し、自社開発したアプリで生産作業の管理を行っています。

アプリにはカレンダー機能もあり、誰が・いつ・どこで・何をやっているかを一目で把握できます。また、どの作業にどれだけの時間がかかっているかも可視化されるんです。

農業は気候変動などリスクの非常に高い産業ですが、可能な限りデータを蓄積していくことで、安定した供給の実現を目指しています。


「どこよりも熱い」城里町との出会い。官民協働し、城里町の農業を盛り上げる

日本農業・山崎さん(右)と、城里町農業政策課・三村さん(左)の対談の様子



ーーここからは、城里町農業政策課・三村さんも交え、城里町と日本農業が連携するに至った経緯についてお聞きできればと思います。

山崎:当初、日本農業は「梨」の生産を主眼に置いていましたが、農研機構からの助言もあり、「桃」にも挑戦する方針になりました。

そこで、茨城県農業参入等支援センター(※)にもご支援いただきながら、県内市町村の農業担当課に連絡をして、少しでも反応をいただけた自治体へ実際に足を運んでいました。

そんな中で出会ったのが、城里町農業政策課の三村さんでした。

城里町には豊かなほ場があるだけでなく、何より三村さんの熱意がすごかったんですよね。

10年先を見据えた町の農業の資料を提示してくださるなど、どこよりも熱い想いを持っていた。それが、私たちが城里町を選んだ原点でした。

(※)農業参入等支援センター…農業経営や企業参入に関する総合的な相談窓口


三村:私も日本農業さんが役場に相談に来られたとき、「本気でやる気のある人たちだ。これは面白いことになるぞ!」と直感しました。

もしこのような前向きな農業法人を誘致できれば、地域農業の大きな担い手になっていただけるのはもちろん、これまで活用されていなかった遊休農地(※)を利活用できたり、新たな雇用の創出にもつながったりする、と考えたんです。

そこから、実際に日本農業さんに町内のほ場をご案内したり、さまざまな条件を整理したりして、2024年2月に「農業発展と地域の活性化に関する連携協定」を締結する運びとなりました。

(※)遊休農地…本来は農地であるが、現在農業が行われておらず放置されている土地のこと。主に農家の高齢化や後継者不足などを背景に発生しており、病害虫の発生や鳥獣被害などの原因として地域全体の課題となっている


城里町役場で行われた締結式の様子。
(左から)日本農業 代表取締役CEO 内藤祥平さん、上遠野町長
(写真提供:城里町)


ーー連携に至るまで、そんな熱いやりとりがあったのですね!山崎さんは、実際に城里町で果樹栽培をやってみてどのように感じていますか?

山崎:城里町は土壌の良さはもちろんですが、とにかく人が温かいんですよね。

実は、現在のほ場を整備するにあたって、電柱の新規設置や井戸の掘削・配水管の整備など、インフラをゼロから整える必要があり、多くの困難をともないました。

そんな時に、三村さんをはじめとする役場職員の皆さんや、地域の方々、地元の業者さんなどが親身になってお力添えをくださったおかげで、今こうして無事に運営することができています。

三村:何より日本農業さんが熱心だからこそ、多くの人が力を貸してくれるのだと思います。

日本農業さんは、地域おこし協力隊の受け入れだったり、今年2026年7月には桃の観光農園をオープン予定だったりと、本当に地域に貢献していただいています。

ーー地域と持ちつ持たれつの関係なんですね!先ほどのお話で「10年先を見据えた町の農業の資料」というワードがありましたが、三村さんはどんな城里町の農業の未来を思い描いているのでしょうか。

三村:私としては、城里町の農業が、町を発展させる大きな原動力になることを夢見ています。

例えば、「農業体験王国しろさと」として、町全体がひとつの農業テーマパークのようになり、四季折々のフルーツや野菜の収穫体験を楽しめるようになったら面白いのではないか、と考えているんです。

小さな町ですが、個性豊かなほ場が点在していて、桃や梨、ブルーベリー、いちご、にんじんなどの収穫が年間を通して楽しめる。そんな場所になれたら最高ですし、そこからさらに子どもたちの「教育旅行」にもつなげていけたらうれしいですね。

そうして城里町の農業が発展することで、観光業や飲食業、流通業への波及はもちろん、海外からのインバウンド、そして山崎さんのような「移住者」や「次世代の農業の担い手」がどんどん増えていく――。そんな風に、農業を起点として町全体に素晴らしい連鎖が生まれていけばうれしい限りです。



2026年7月、桃狩りが楽しめる観光農園がいよいよオープン!

昨年収穫された城里町産の桃。
今年の夏、一般向けの桃狩りが開始される(写真提供:日本農業)



ーーとても素敵な構想に私もワクワクしてきました!そして、「アグリーンパーク しろさと桃の丘」では、2026年7月に桃の観光農園をオープン予定なんですよね。

山崎:そうなんです。期間は2026年7月10日から8月28日頃までを予定しています。

今回、「完熟桃の50分食べ放題」と「桃の収穫体験」がどちらも楽しめるプランをご用意しました。一番美味しい食べ頃を味わっていただきたいので、食べ放題には事前に収穫して完熟させた桃を準備してお待ちしています。

サービスのホイップクリームなどのトッピングも料金内で自由に楽しめますし、もちろん、園内でご自身が収穫したもぎたての桃を、その場でお召し上がりいただくこともできます。別料金にはなりますが、お持ち帰りいただくことも可能です。

時期により、「あかつき」「まどか」「川中島」「さくら」など、その時期に食べ頃を迎えた品種を楽しんでいただけますよ。

ーー「桃」を大満喫できる、贅沢なプランですね!農園のコンセプトについても教えてください。

山崎:キーメッセージは「五感にまかせる、農と緑。」です。

ただ桃を食べるだけでなく、農園を歩く、実りに触れる、自然の中でゆったり過ごす、といったことを通じて、城里町の自然や農の魅力を丸ごと体験していただければと思っています。

また、飲食物の持ち込みも可能なので、お弁当を持ってきてピクニックを楽しんだあと、食後のデザートに桃の食べ放題を、といった過ごし方もできます。

園内の飲食スペースではタープテントで日陰を作り、イスやテーブル、業務用扇風機も常備していますので、快適に思い思いの時間をお過ごしいただきたいですね。

ーーお弁当などの持ち込みが可能なのは、家族連れにもうれしいですね。さらに、城里町民への特別な割引もあるのだとか。

山崎:はい。地元の方に、より身近に楽しんでいただきたいという想いから、城里町民限定の割引をご用意しました。

城里町における夏の新たな体験型観光コンテンツとして、町外からはもちろん、地域の方々にも親しんでいただける農業体験の場を目指しています。

親子で楽しめる食育・農業体験の機会にもなりますので、ぜひ多くのお子さん連れの方にもお越しいただけたらうれしいです。



花見から桃狩りまで、思い出の場所に。地域と共に城里町の農業の未来を創りたい

4月上旬、見頃を迎えた桃の花(品種:川中島)。
この品種は摘蕾(※)が不要なため、見事な満開の景色を見ることができる

※摘蕾(てきらい):果実を大きく育てるために開花前のつぼみを間引く作業


ーー最後に、城里町の皆さんへメッセージをお願いします。

山崎:私は、城里町に携わるようになってからまだ2年ほどですが、豊かな大地に恵まれ、人が温かいこの町がとても気に入っています。

地域の方から「日本農業なの。桃を作ってるんだよね」と声をかけていただいたり、近所の方にも「新聞に載ってたね」と声をかけていただいたり、日々励まされています。

実は、以前は宇都宮市に住んでいたのですが、城里町に木を植えるとなった際、「ここでやっていくぞ!」と覚悟を決め、町内で空き家物件を紹介してもらい、家族で移住してきました。

やっぱり、もし木に何かあった時には一目散に駆けつけたいですからね。

そうして我が子のように大切に育てている桃の木は、夏に美味しい果実を実らせてくれるだけでなく、4月には本当に美しい花を咲かせてくれるんです。

将来的には地元の幼稚園や小学校の遠足などで、お花見に来てもらえるような場所にできたらいいな、とも考えています。

7月にオープンを迎える観光農園「アグリーンパーク しろさと桃の丘」が、多くの皆さんに親しまれ、たくさんの思い出が生まれる場所になってほしいですね。

これからも地域の方々と手を取り合い、一緒に城里町の農業を盛り上げていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします!

ーー素敵なお話をありがとうございました!桃の観光農園のオープンを心待ちにしております。お忙しい中、取材にご協力くださり、心より感謝いたします。


取材・文・写真(提供を除く)  関川恵実






■HP:アグリーンパーク しろさと桃の丘

    https://agreenpark.nihon-agri.com/shirosato
    ↑「桃狩り」の詳しい情報・ご予約はこちらから!

・大人(中学生以上)2,300円
・子ども(3歳〜小学6年生)1,300円
・幼児(0〜2歳)無料

町民用予約フォーム or 電話でご予約、現地決済。
元気アップ振興券(第9弾)もご利用いただけます。

城里町在住が確認できる身分証をお持ちください。

町民用予約フォーム:https://docs.google.com/forms/u/0/d/1XYdqGqMPDw_9VWkbNG1rMp-OmDhTPBYE5DXUrpOVp6M/viewform?edit_requested=true

電話:080-4778-3383(観光農園担当)


■HP:日本農業

    https://nihon-agri.com/


■Instagram:城里町農業政策課×地域おこし協力隊【公式】@shirosato_nousei

    https://www.instagram.com/shirosato_nousei/?hl=ja



〜取材後記〜

今回のインタビューを行ったのは、桃の花が見頃を迎えた4月上旬。

ひな祭りの歌詞で「♪ おはなをあげましょ ももの花~」という言葉は耳にしていましたが、私自身、本物の桃の花を見るのは初めてのこと。実際に目の当たりにした桃の花は、可憐なピンク色で、ほ場を鮮やかに彩る姿が美しく、とても印象的でした。

そんな春の息吹を感じるなかでお話を伺い、強く感じたのは、企業だからこそできる農業の可能性と、これからの城里町の農業がとにかく「熱い!」ということです。

農業は、日本の「食」を支える大切な一次産業である一方で、気候変動や後継者不足、資材の高騰、さらには獣害など、常に多くのリスクと隣り合わせの難しい産業でもあります。

個人の農家さんだけでは、どうしても生産規模やリソースに限りが出てしまいますが、法人だからこそ実現できる業務の効率化や、データに基づいた大規模生産など、スケールの大きい革新的なお話をたくさん伺うことができました。

また、城里町農業政策課の三村さんとの対談のなかで飛び出した、「農業体験王国しろさと」という未来の構想には、お話を聞いているこちらまでワクワクしてきました。

私自身、桃や梨はもちろん、フルーツも野菜も大好きなので、これからがとても楽しみです!

お忙しいなか、貴重なお話を聞かせてくださった山崎さん、三村さんに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

取材後のオフショット。ご一緒にランチをしました😊



最後までお読みいただき、ありがとうございました!